草凪優さんの書き下ろし短編集。
女性の感情に沿わせてセ ックスを書くのがお上手ですね。
どっしりとした官能短編ではなくライトめかな。
表題の「断れない女」から、「壊す女」、「捧げる女」、「嵌る女」、「奪われる女」と5人の女性が登場。
あ〜こういう女性、わかるわかる〜と思わせる女が「断れない女」と「壊す女」。
主人公が等身大といいますか、20代だし。親近感。どちらも「女に嫌われる女」。
「断れない女」は、文字通りの誘いを断らないってことなので、「やりまん」ということになっているのだが、
それは「させこ」であって、「やりまん」とは別物だと思うのですが……、まぁ、細かいことはいいか。
イケメンとそうでない童貞風ぽっちゃり男性のエッチの書き分けが草凪さんっぽいな〜と思いました。
イケメンはイケメンらしいセッ クスをするよね。
「壊す女」も、身近にいるな〜こういう女の人〜って感じでラストは逆に清々しい。上司との妄想にふけりたい人にはお勧め。嫉妬とか寂しさで絡め取るセッ クスだけど、そこは上司とだから男性上位の力強いものが書かれてますよ。
一番官能色が強く感じられたのは「捧げる女」。媚薬を塗られてって設定がモロ官能小説ですね。
意識とは別に身体だけが焦り焦り(「じりじり」と読んでね…)と官能に蝕まれ、読んでいるこっちの脳が犯されてしまうのですよ。じっくりねっちり。
主人公・由起子はシャンとした女なのに、うだつの上がらない小太りの妻子持ちに愛情を抱いてしまったばっかりに……。でも、そのダメな課長に対する気持ち、なぜかよくわかる不思議さよ。って感じでお話しも好感もてました。
「嵌る女」と「奪われる女」はなんか悲しくて、工ロどころではなかった。
特に「奪われる女」は悲しすぎた。
「嵌る女」はなんというか、官能小説によくある展開の一つ。
表面上は仲良くしてたけど、ホントはちょっといけ好かないと思っていた女性に秘密がみつかり、バカにされつつ手込めにされていく、そのツールがまた写メっていうのが……。
ちょっと陳腐で好きじゃないのはそこで、悲しかったのは中年の女の人(主婦)の悲しさみたいなものでしょうかね。衰えていく肉体と持て余す性欲。私が今、あんまり直視したくないなーって思っていたものなので、よけいそう感じたのかも。