16.11.11

『人妻たちの秘宴』 女流官能アンソロジー

女性の読者さんに読みやすい、ぐっとくるのは女性の作家さんのような気がします。
やはり心理描写が上手、とか、こんなこと女はいわねーだろ!ってことがないからでしょうか。基本的に。
たまにそうじゃないときもありますけど。
ちょい古めの官能小説だと、実際にこんなこといわないでしょ!
な、言い回しがでてきて萎えちゃうこともあるんですよね。
無駄にあまったるいしゃべりかたとかもね……。

河出書房のこの女流アンソロジーシリーズはここ最近、活躍している女性作家のみ収録。
なんとなくですが、他社のアンソロジーものよりも河出i文庫のは捨てがない。
うーん、いや、際立ってよいです。書き下ろしが多いせいもあるんでしょうか。
とくに、この『人妻たちの秘宴』の女流アンソロジーはオススメ。
ハードさは皆無だけれど、その分丁寧にセッ クスに至る描写がされていると思う。
その中でも気に入った作品が多かったのはこのアンソロジーですね。
好きな作家さんを探すのにも、お得でいいですよ。

ちなみに気に入った収録作品はこちら。

●黒沢美貴さんの「雨上がりの鳥」
ラブストーリーとしても読める。きれいでさらっとしてる。
●響由布子さんの「百円ショップの女」
迷う人妻。このエッチしてないのに体がむずってしまう感覚とかもう、すてき。切ない。
●渡辺やよいさんの「転落の人妻」
女友達の関係性にもドキッとする。愛らしい人妻が汚されるとこにはふるふる萌え濡れた。

「百円ショップの女」はもう何度読み返したことか。
出てくる男は年下の遅漏なんだけど、官能小説で「遅漏」ってボキャブラリーみたのは初めてだったわ……。


2年前くらいまで、「人妻もの」ってちょっと抵抗あって買わなかったんです。
自分、人妻じゃなかったし、おばさんっぽい感じだったらやだなぁとかの理由で。
でも官能小説ってなぜだか、いや、年配の男性が主要読者だからかな、タイトルに「人妻」ってつくのが多い!! 登場人物でも多い。「人妻」を避けては、読む官能小説がなくなってしまうくらい。
仕方ないので、手にとって読んでみたのですが、別段おぼさんっぽくはないし、ことさらに人妻人妻してる方が少ないし、人妻とうたってないものとそう変わりはなかったので、それからは普通に買ってます。
なので「いやー人妻ものって、ちょっと自分の環境と違うし」って敬遠する必要はないよーのアナウンスでした。

わたしが読まないのは時代物ですかね。ちょっと設定に入り込めないことが多いので。